スタートライン
会社設立から3年目の1964年、島正博は手袋編機の開発に日夜邁進するも、開発資金が底をつき6,000万円もの借金を抱えていました。そして60万円の手形決済を翌日に控えた同年12月24日には資金繰りに目途が立たず、倒産寸前の窮地に立たされていました。しかしこの日の夕刻、奇跡が起きます。それまでまったく面識のなかった男性が現れ、「翌日の手形決済に間に合うように」と、現金が入った風呂敷包みを差し出してくれました。その方は、和歌山県の企業診断員から当社の窮状を聞き、見ず知らずだった一青年を救うために大金を用意してくださったのでした。九死に一生を得た島は、それから丸一週間、不眠不休で開発を続け、大晦日、ついに世界初の全自動手袋編機(角型)を完成させました。そして年明けから順次展示会を開催し、合計で約600台の注文を獲得。全自動手袋編機メーカーとしてスタートを切ることになりました。